ある日、偶然「ふしぎ工房」という看板を見つけたら…?
朗読CDシリーズ「ふしぎ工房症候群」
原作:竹内葵(「クリスタルチェリー愛す君へ」CF文庫)
EPISODE.12「(タイトル未定)」 語り:高橋広樹
EPISODE.11「(タイトル未定)」 語り:森田成一
EPISODE.10「(タイトル未定)」 語り:森久保祥太郎
EPISODE.9「卒業」 語り:緑川光
EPISODE.8「オルゴール」 語り:福山潤
EPISODE.7「妹の遺言」 語り:岸尾大輔
EPISODE.6「クリスマスの出来事」 語り:三木眞一郎
EPISODE.5「カネかえせ!」 語り:谷山紀章
EPISODE.4「一緒に死んでくれますか?」 語り:石田彰
EPISODE.3「ひとりぼっちの誕生日」 語り:櫻井孝宏
EPISODE.2「女性恐怖症なおします」 語り:鈴村健一
EPISODE.1「君はダレ?」 語り:諏訪部順一
生活していくことの疲労感、子供の頃に見た光景への回顧、揺れ動く将来に対する希望と展望、募る孤独と不安、そして恋愛感情……様々な思いを抱えて生きている人間が、ある日、偶然、街角で「ふしぎ工房」という看板のワークショップに出会うことから始まる物語──。
人気声優が朗読を担当するCDが、アニメイト独占販売で続々発売!!
2006年5月26日には、EPISODE.10~12が3枚同時発売決定。
●ふしぎ工房症候群 EPISODE.9「卒業」
──久しぶり。もうだいぶ会ってないけど、元気にしてる?
親友からの手紙。その返事をポストに投函して、空を見上げた。ふと飛行機雲の向こうに、彼の顔と懐かしい郷里の風景が浮かんだ。彼と出会ったのは、小学校五年生の時。転入生として紹介された彼は、重度の小児麻痺で、しかも生まれながらに心臓に疾患を持つというハンデを背負っていた。クラス委員長の僕は、一人ぼっちになっている彼に声をかけ、クラス全員に仲良くしようと呼びかけた。小、中、高と同じ学校に通い、僕達はお互いに支え合う存在になった。しかしその反面、彼の精一杯生きる姿と強い心が僕にとって大きなプレッシャーとなっていった。
──そして、卒業。それは僕達の別れを意味していた。僕達はある『記念品』を交換した。僕は進学のため、数日後に町を出た。
僕は都会で、すぐにも自分の無力を思い知らされた。学業でも、スポーツでも、そして生活でも…ここでは自分の力とちっぽけな自尊心がまるで通用しない。そのうち学校に行くのがおっくうになり、親には嘘をつき、アルバイトをしながら適当に生活していた。自分の挫折を認め、さらけ出す勇気がなかった。彼にさえ本音を語らなかった。
ある日、母親から思いも寄らぬ電話がきた。彼が危篤状態だというのだ。僕はアパートを飛び出した。駅に着いて、急いでタクシーに仱贽zむ。しかし僕が会うことのできたのは、もう冷たくなった彼の亡骸だった。
僕は自分の殻に閉じこもったまま、親友を失った──
●ふしぎ工房症候群 EPISODE.8「オルゴール」
オルゴールの音が流れる。ひとつひとつの音がゆっくりと僕の中に入ってきて、痛んだ心を優しく包んでくれる。大切な思い出……もうあれから何年経つのだろうか?
当時、小学校五年生だった僕は夏休みに母の実家に遊びに行った。山々に囲まれ、空気の澄んだ田舎町。僕はそこで一ヶ月を過ごした。その時、少女に出会った。僕と同じ年でこの町に引っ越してきたばかりだという。それからは少女と過ごす時間が、僕の貴重なひと時となった。
──ひと夏の淡い恋。夏休みが終わる頃、少女は宝物のオルゴールを僕に手渡し町を去っていった。
それから十年近く時が流れる。バイクを哕炛肖坤盲績Wは転倒し、以来、後遺症で両足が動かなくなった。リハビリをすれば動くと励まされ、懸命に努力したが、その成果は少しもあらわれなかった。車椅子の生活と足の動かない恐怖感から、いつしか僕は希望を失い、家に閉じこもるようになった。
「どうせ僕なんか…」
大学も辞め、すっかり自暴自棄になった僕は、思い出に浸ることに喜びを見い出すようになった。
そしてある日、引き出しの奥に、大事にしまってもう忘れかけていたオルゴールを見つけた。僕の思いは、少女と出会ったあの夏に行き着いた──
一度母の郷里を訪ねてみようと思い立った。久しぶりに訪れたあの“場所”で、僕が出会ったのは…!?
[ 此贴被小离在2006-03-23 19:49重新编辑 ]